渋谷エールジョブシャドウィング 第8回レポート

「〜経営者やリーダーと職場で過ごす半日間〜」

1月19日 TSさん(ニックネーム)が、株式会社本多企画 代表取締役 本多愼一郎さんのジョブシャドウイングを実施しました。

散歩が繋ぐ人の心

参加者 TSさん(ニックネーム、28才、男性)

本多社長の一日付き人という企画に、緊張していなかったかといえば全くそんな事はない。

その証拠に、待ち合わせの三〇分前には現場に到着していたし、緊張を解すために待ち合わせ時間までの間に吸った煙草の数は片手では数えきれない。

社長とは以前、スズナリ見学のイベントでお会いしたことがあるとは言え、こちらは大勢の中の一人。今日が初対面という気持ちで挑もうと多少の気負いがあった事は否めない。

社長と合流後は、

  1. ライブハウスの準備の手伝い
  2. 北海道をテーマにしたイベントへの挨拶
  3. 芝居の稽古の見学(A)
  4. 芝居の稽古の見学(B)
  5. スズナリ一七番地の工事打ち合わせ

と、下北沢という街を東へ西へと回った。

本来、この企画は社長に一日密着しその仕事を見る事で学びを得るという趣旨なのだろうが、本多社長は出会って早々にそれを真っ向から覆した。

「今日は僕の散歩です。」

当日は昼集合の夕方解散であったが、五つのスケジュールはどれも約三〇分程度であり、基本的には、移動がメインであった。確かに、序盤こそ移動中に下北沢の歴史や本多劇場についてのあれこれを教えていただいたりなど「こりゃ確かに散歩だな」と感じるシーンもあった。ライブハウスの準備の手伝いも、北海道のイベントも基本的には挨拶をしに寄って、その場の様子を見たり関係者と話すことがメインだった。そして、合間合間に「今日は散歩だからなぁ」というのだった。

しかしあるきっかけで気付いたのだ。この散歩の本当の意味に。

1箇所目の芝居の稽古を見終えた時だったか、社長が言った。

「煙草吸うんでしょ?ちょっと一服しようか。」

確かに僕は喫煙者だ。しかし何故そんなことを知っているのか?その問いを社長に投げかけた時に思いもよらぬ答えが返ってきた。

まず、どうやら待ち合わせ前に、近くの喫煙所で煙草を吸っていた所を目撃されていたらしい。という事はつまり、以前一度会ったきりの、大勢の中の一人だった私の事を覚えていたという事だ。驚愕した。

そして。これまでの散歩の意味がわかった。

本多劇場グループといえば下北沢に生まれ、下北沢と共に発展してきた言うなれば下北沢の象徴。今私の目の前にいる人は、そこの社長なんだ。この散歩はただの移動ではなかった。

いうなれば街を見ている。私はそう感じた。

そんな本多劇場グループの社長だから、と感じた時、挨拶回り、稽古の見学も大きな意味を持つことがわかってくる。

社長と接すると気付かされる事がある。社長は気遣いを忘れない。稽古場見学にお邪魔する際の差し入れは勿論の事、どの現場でも「何かできる事はありますか?手伝える事はありますか?」と言う。そして常に笑顔を絶やさない。そうして人の和を繋いでいく。

本多劇場グループを支えるという事は、下北沢という街を支える事にあったのだ。

帰り際、社長に言われた。

「結局、最後まで僕の散歩だったね。」


訪問団体

株式会社本多企画 代表取締役 本多 愼一郎 さん